サンクコスト時間術 斎藤 広達著

時間を戦略的に使用する



サンクコスト時間術 (PHPビジネス新書 66) (PHPビジネス新書 66)
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斎藤 広達

PHP研究所 2008-08-19
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・残り1日でやらなければいけない仕事を考えすぎて、

  何も残らず半日過ごしてしまった。

・突発的なタスクが入ってしまい、予定していたものの

  残り時間が少なくなってしまった。

仕事をしている人なら、こんな経験をよくするのではないでしょうか。

私も組織の中で仕事をしているので、急な割込み作業が入ってしまい、

やっていた仕事の残り時間が少なくなることがよくあります。

そんな時、残り時間でタスクを完了させるには『過去』にこだわりすぎてはいけません。

本書では、「もはやどうにもならないもの。考える上で除外するもの」という

サンクコスト思考での時間の使い方を指南しています。

「過ぎ去ってしまった時間にこだわりすぎて、さらに時間を消費してしまっている」

ことに心辺りがある方には一読をお勧めします。

■サンクコスト思考

  サンクコストとは、「もはやどうにもならないもの。考える上で除外するもの」

  いう意思決定や管理会計等で使われれる考え方です。

  これを時間術に応用したのが本書の内容です。

  つまり、時間を考える上で過ぎ去ったもの(過去)が

  どうであったかにとらわれず、今と未来にフォーカスするということです。

  なぜ、過去を除外するのか。

  その理由は、過去の時間はどう頑張っても取り戻せないからです。

  取り戻せないものに固執してしまうよりも、「今」と「未来」を考える方が重要なのです。

■S-TiBA(スティーバ)

  サンクコスト思考を利用した時間術を体系的に考えるための

  ポイントがS-TiBA(スティーバ)です。

  S-TiBAは以下の4つの頭文字をとったものです。

  ・Situation:状況判断
  ・TimeLeft:残り時間
  ・BestAnser:最善の答え
  ・Action:アクション

  S-TiBAを使った時間術は繰り返しこれを行うことが重要です。

  繰り返すことで効果が出ます。

  また、本書では、これらを特定の状況に置かれたときにどのように

  使うかが記載されています。

  (具体例については本書を参照)

■Situation

  特定の状況に置かれたときにその状況を正しく認識することが重要です。

  正しく認識することで、その後方向性を定義することができます。

  方向性を定義することのメリットは、「無駄を省く」ことです。

  最短距離で目標に到達するためには、この方向性の定義が重要になります。

  Situationは以下のポイントを繰り返すことです。

  《ゴール意識》

    『ゴールは何なのか』

    最終的に立っているべき場所の定義が重要です。

    ゴールが見えていないと進んでいるのか、戻っているのかもわからなくなってしまいます。

 《逆算式情報収集》

    ゴールから逆算して情報収集することで

    余計な時間をかけずに的を絞ったものを集めます。

    ダラダラと関係のないものまで集めてしまうと意思決定に支障をきたします。

  《シナリオ構成》

    情報が集まった段階で、ゴールまでの道筋を定義します。

   『どのように』ゴールまでたどりつくのか。

    それを決めるのがシナリオ構成です。

  ⇒この考え方は、「仮説を立てる」というものと似ています。

    何も考えないで、突き進むよりは仮説がある方が、

    一貫した方向で進むことができます。

■TimeLeft

  Time Leftは「残り時間」を意識することです。

  時間を漠然と捉えていると、いくらでも時間があるように感じられてしまします。

  正しく時間を捉えるためのポイントは『標準工数』です。

  自分がある作業をどのくらいの時間で行うことができるのか。

  それを知っているか、知らないかでは時間管理においては雲泥の差がです。

  自分の標準工数を知るには、『計測』が欠かせます。

  作業を漠然と行うのではなく、開始・終了を明確にし、

  その時間を計測する、そうすることで「自分の生産性」が見えてきます。

  本書では、自分の標準工数を知ることは『プロの条件』と述べています。

  確かにプロフェッショナルといわれてる人は、感覚的にでも標準工数を

  意識して仕事をしているように感じられます。

  ⇒システム開発の見積もりでも『標準工数』の考え方は重要です。

    見積もり根拠にも標準工数が使われます。

    ただし、システム開発の場合は個人ではなく、チームなので

    チームの標準工数を知る必要があります。定量化への第一歩ですね。

■BestAnser

  「正解」でなく、「最善の答え」を求めるのがサンクコスト時間術の考え方です。

  「正解」は突き詰めても見つからないことが多いからです。

  様々な選択肢の中から、「最善の答え」を見つける。

  「正解」を求めすぎてしまうと、無駄に時間を消費してしまいますし、

  最終的に「正解」にたどり着けるとも限りません。

  「最善の答え」は勘や経験から導くのではなく、『比較』により導出します。

  たどりつくべきゴールと現状を取り巻く要素を比較することで、導出が可能になります。

■Action

  状況を判断し、残り時間から最善の答えを導き出したら、最後は行動です。

  行動を起こすことで、まず大切なのは、『現状維持バイアス』から

  抜け出すことです。

  人間は現状を維持したいという欲求があります。

  その壁を乗り越えてこそ、行動が起こせるのです。

  そのためのポイントは、『視覚化』です。

  ゴールにいる自分を意識的にイメージ化することで行動が起こしやすくなります。

  ⇒ブログを書き終えて一息ついている自分をイメージすると

     筆の進みもよくなるかもしれませんね。

■感想

  S-TiBAの考え方の中で、TimeLeftとBestAnserはとても良いものだと思いました。

  サンクコスト自体も今の自分の時間の捉え方に一石を投じてくれたものです。

  その中でも、残り時間の意識と「正解」でなく「最善」を求めるという

  考え方は目から鱗でした。

  時間術の本を読んでいつも思うことは、時間管理の基本は「意識」である、ということです。

  如何にノウハウや方法論を学んでいてもそれを実践しようとする

  意識がなければバリューは生まれません。

  このことは自分への戒めでもあります。

  時間は有限なもの、しかし使い方しだいで最大の差別化のファクターになる。

  今からこの意識で日々過ごしていきます。

■編集後記

  最近、昔読んだ本を再読しています。

  やはり、いい本はいつ読んでも刺激されますね。

  その中でも何回読んでも姿勢を正されるのは、↓です。

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コメント

  1. 長谷川さん、トラバありがとうございます。
    同じ書評でも、僕なんかS-TiBAについては
    一切書かなかったんで、すごく新鮮な感じを
    受けますね。面白いものです。

  2. LuckyUSさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。
    >同じ書評でも、僕なんかS-TiBAについては
    >一切書かなかったんで、すごく新鮮な感じを
    >受けますね。面白いものです。
    そうですね。
    同じ本でも紹介する内容が人によって
    違うのはとてもおもしろいです。

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