戦略がすべて 瀧本 哲史著

出来事の戦略を知り、自分の戦略を考える


戦略がすべて (新潮新書) 戦略がすべて (新潮新書)
瀧本 哲史

新潮社 2015-12-16
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戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、
各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの
張り方をすることなのだ。

本書の最終章『「戦略」を持てない日本人のために」に記載されている一文です。
「戦略思考」というとなんか難しいイメージをしますが、 物事を見る視点を変え、
その後起きるであろうことを予測する、ということだと私は思います。

本書ではAKB48から東京オリンピック、大学教育など身近なネタをもとにその裏にある
戦略について解説した一冊です。

具体的な事例は非常にわかりやすく、自分なりにどのような応用ができるかを想像しやすい
内容になっています。
若手ビジネスパーソンから経営者まですべての層の方にお勧めの一冊です。

 

■プラットフォームという仕掛け

ヒットしているコンテンツの裏には必ず「仕掛け」が存在します。
本書ではAKB48を例に、プラットフォームという仕掛けについて解説しています。

複数のタレントを包括する「システム」、すなわち「プラットフォーム」を作り、
そのシステムごとまとめて売ろうというものである。
(中略)
コンテンツをたばねる「プラットフォーム」を作ることは、様々なリスクを軽減して、
ビジネスに永続性を持たせることに有効な手段だといえる。

誰が売れるかわからない(不確実性が高い)世界において、評価が後からになっても、
持続可能性が保つことができる仕組み、これがAKB48における戦略の1つになります。

プラットフォームという仕掛けは以下の関係者から成り立ちます。
 ・顧客
 ・プラットフォームのプレイヤー(運営者)
 ・プラットフォームの参加者
この中で、プラットフォームのプレイヤーは人・モノ・金・情報をネットワーク化し、
そのハブとして存在することで、利益を出しています。

プラットフォーマーとしてはAmazonが代表格ですが、オフラインの世界でいえば、
鉄道会社、ハブとなる空港や港などがそれにあたります。

個人がプラットフォーマーとしての役割を果たすにはどうしたらよいか。
それはその人が持っている専門性や情報などによるところが大きいです。
自分がどのような役割ができるか、これは考える価値があるモノだと思います。

 

■労働市場で評価される

本書の帯には「バカは市場で勝ち残れない。」という刺激的なメッセージが書かれています。
本書には明確な記載はありませんが、このメッセージの真意は
「自分がどの枠組みの中でビジネスをしているかを考えよ」
ということだと思います。

自分が身を置いている市場(基本的には労働市場)はどのような仕組みでなりたっているのかを
キチンと考えないと効果が少ない努力をしてしまったり、間違った方向に進んでしまう可能性が高いということです。

『二束三文の人材とならないー2030年の方程式』という節で、以下のような記載があります。

不確実で厳しい未来においては、「自分の労働をコモディティ化させないこと」が重要になる。
企業で働く人は、まず、「自分がいる会社を時代の変化に即して変えていくこと」 に努力すべきだと思う。
(中略)
「市場からの評価」というリスクは会社にとらせ、自分は社内という狭い世界で評価されることを目指し、
イニシアチブをとって会社の変化を主導する。

市場評価を気にする前に、社内で評価され、会社を変化させる努力をするようがリスクが低いという考え方は
とても理にかなっていると感じました。
会社に所属しているビジネスパーソンの特権であると思います。
「やりたいことができない」と愚痴を漏らすよりも「やりたいことがやらせてもらえるほど評価される」道を
進んだ方が効率的です。

 

■情報の企みを見抜く

インターネットが普及して、さまざまな情報があふれかえっています。
そんな中から有益な情報を拾おうと思うと、どうじても自分の都合の良いものというバイアスが
かかった情報のみを拾ってしまいます。
スマホのニュースアプリやキュレーションアプリが流行っている理由もそこにあります。
自分が心地よい情報のみに触れてしまうと、それ以外の情報が見えなくなってしまいます。

「自分とは異なる意見」に触れることの1つの手段として教養を学ぶということがあります。
教養(リベラルアーツ)を学ぶことで、さまざまな思想や意見に触れることができ、
見識が狭くなるのを予防してくれます。

 

■全体的な感想

時事ネタを中心とした内容になっているため、わかりやすい一冊でした。
ただ、著者が語ろうとしている内容は非常に奥が深く、考えることの必要性を多く感じました。

戦略というと国や会社などに当てはめる概念だと思われがちですが、
個人のキャリアや普段の仕事でも適用できるものです。
「いま自分が力を注いでいることは戦略的かどうか」を常に考えることは、
ビジネスをしていく上で、大事なことです。    

本書で例としてあげられている「RPGの世界観」でレベル上げに頑張っていたタイプの
自分としては、ショートカットを狙えるように以下の習慣をつけたいと思います。

身の回りに起きている出来事や日々目にするニュースに対して、
戦略的に「勝つ」方法を考える習慣を身につければいい。

 

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