地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 細谷功著

自分の思考経路を知り、鍛える手法



地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」


細谷 功

東洋経済新報社 2007-12-07
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ネットの世界が確立されたことにより、様々な情報に簡単にアクセスできるようになりました。

その結果、『問題』に対する『正解候補』がすぐ手に入るようになってしまい、

自分で考えなくてもよいことが多くなりました。

しかし、仕事をしていく上で直面する課題や問題はそう簡単に正解が

見つかるようなものではありません。

そこで必要になるのが、『推測し、自分なりの解を導出する』能力です。

本書で紹介されている『地頭力』とは考える能力(思考能力)のことです。

いま自分知っている範囲の情報で、どのように自分なりの解を導出するか、

そのために必要な構成能力が紹介されています。

また、このような力を鍛えるための手法として『フェルミ推定』が紹介され、

例題も豊富にあります。

気付いたらGoogle検索している人に超お勧めです。

■地頭力とは

  世間で頭がいいといわれる人は以下の3種類に分類されます。

  1. 知識が豊富(物知り)
  2. 対人感性が高い(機転が利く)
  3. 思考能力が高い(地頭がいい)

  
地頭力とは、思考能力のことです。

  
考える能力が高く、『Why思考』ができると地頭力がいいと定義できます。

  
地頭力がいい人の考え方は『結論から』『全体から』『単純に』です。

  
これらのアプローチを実現する能力として、

『結論から』:仮説思考

『全体から』:フレームワーク思考

『単純に』 :抽象化能力

  
があります。 

■『デジタルデバイト』から『ジアタマデバイト』へ

  あらゆる情報が簡単に手に入るようになり、それまでITリテラシーが

  高かった人たち(デジタルデバイト)の優位性がなくなってきました。

  情報格差がなくなったため、手に入れた情報をもとに、それをどのように

  活用するかを考えることができる人(ジアタマデバイト)の優位性が増してきました。

 考える力=地頭力が必要になったのはこんな背景があります。

 ■結論から考える『仮説思考力』

  仮説思考とは、一言でいうとベクトルの逆転です。

  例えば、はじめから順番に終わりに向かっていくのではなく、終わりからはじめへ

  逆に進んで考えるということです。

  よくわからない課題について考えるとき、はじめからの積み上げで考えると

  途中で幾重にもパスができ、ゴールへの到達が遅くなります。

  仮説思考は、少ない情報から前提を立て、ゴールを仮決めしてから

  考える思考法です。

  定義を見ると、簡単そうに見えますがこれはかなり大変です。

  前提を立てるためには、立てるための引き出しを沢山持っていないと、

  前提自体がまったく見当外れのものになってしまいます。

  精度を上げるためには、始めの仮説に固執せず、条件が変わったら

  柔軟に思考経路を変えることです。

■全体から考える『フレームワーク思考力』

  フレームワーク思考とは、俯瞰して全体を把握する能力です。

  個別の細かいところを見てしまうと、どうしても全体が見えません。

  全体が見えていると、物事を絶対座標で把握することができます。

  自分視点の相対座標とは違い、誰が見てもわかるような形で物事を

  把握できます。説明がうまい人は絶対座標で見ているといえます。

  また、全体を適切な切り口に分類できることもフレームワーク思考の

  能力の1つです。 

■単純に考える『抽象化能力』

  抽象化能力とは「1を聞いて10を知る能力」です。

  物事をシンプルに捉え、それをモデル化することで抽象化します。

  その後、抽象的な内容を具象化し、課題に対する解を求めます。

  『抽象化』『単純化』という概念はよく耳にしますが、とても大変な作業だと思います。

  細部に眼がいってしまうとどうしてもそこからの広がりで考えてしまうため、

  その上の概念が見えなくなってしまいます。

 抽象化能力の基本プロセス(詳しくは本書)を意識することでシンプルに考える

  クセをつけることができそうです。

■フェルミ推定で地頭力を鍛える

  フェルミ推定とは、例えば「日本全国に電注は何本あるか?」といった

  問いに対して、推定ロジックを使って回答するというものです。

  物理学者のフェルミが大学で教鞭をとったさいに、

 
課題として出題したことから「フェルミ推定」と呼ばれてます。

  
フェルミ推定のポイントは少ない情報から概算を出す、つまり

  「あたり」をつけるということです。

  【基本プロセス】 

    
フェルミ推定の基本プロセスは、

  1. アプローチ設定
  2. モデル分解
  3. 計算実行
  4. 現実性検証

    の4つです。 

    
詳しい説明は割愛しますが、このプロセスを用いた概算計算を

    
行うことで、地頭力の構成能力を鍛えることができます。

  
【必要なタイプ】

    
フェルミ推定でのトレーニングが必要な人は以下のようなタイプ。

検索中毒

情報コレクター

経験至上主義

    このような人たちは、情報の渦の中で思考停止に陥りやすい

   
タイプなので、フェルミ推定によるトレーニングで考える力を養う方がいいです。 

■感想

  コンサルタントの方らしく、本の中も適切な粒度に分類されています。

  
また、図解などもあり、各能力についてとても分りやく書いてあります。

  ここでは、紹介していませんが、それぞれの能力を使う際の留意点も

  本書の中には記載されていますので、気になる方は是非。

■感想(システム屋としての)

  システム開発の分野にもフレームワーク思考の絶対座標があったほうが

  良いと思いました。システムという目に見えないものを具現化する際には

  その内容を誰の視点でもわかりやすく説明できる必要があるからです。

  また、仮説思考は見積もりの分野に適用できそうです。

■編集後記

  著者の細谷さんの話を先週セミナーで聞いてきました。 

  本書の内容だけでなく、+αの内容が聞けてとてもためになりました。 

 


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コメント

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