読書はビジネスパーソンにとっての素振り
自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる! (SB新書) 堀 紘一 SBクリエイティブ 2015-12-05 |
「学歴は学<習>歴で超えられる」というサブタイトルにそそられて購入した一冊。
この真意は著者の膨大な読書歴から導き出されたものです。
読書を通じてどのように学<習>歴を身につけるのか、
どのような本が有用なのか、が書かれています。
「読書する習慣がない」
「読書はしているが、ビジネス書が中心」
という方にお勧めの一冊。
これを読んで自分の本棚を見直そうと思いました。
■読書の7つの効用
読書を通じて得られる効用を本書では7つ上げています。
① 失敗を2度繰り返さない
② 表現力が磨かれる
③ ストーリー構築力が磨かれる
④ 環境が変わって成功できる
⑤ 読書は大学院入学に値する
⑥ 読書は「超常識」を引き出す
⑦ 本が師匠になってくれる
いずれも納得できる内容ではありますが、個人的には6番目の「超常識」が気に入りました。
ビジネスをしていく上で、考える事柄は基本的には既存の考え方の組み合わせで解決できます。
その組み替えをそれぞれの置かれた環境(状況)に応じてすることができれば、
問題となっている事象も解決できるのではないかと、考えます。
システム開発の分野でも既存の考え方を組み替えるだけで、解決できる事柄がたくさんあります。
考え方を知識として蓄えておき、必要に応じて引き出し/組み替えるできる能力
を超常識というのではないか、と私は解釈しました。
■ビジネスパーソンが読むべき4つのジャンル
本書では読書を通じて「教養」を身につけるために、読むべきジャンルを4つ紹介しています。
① 生物学
企業は生き物と同じように環境の変化に適応して進化しないと生き残れない。
(中略)
「適者生存」が基本ルールなのだ。
② 歴史
世の中というのは、俯瞰してみると同じような事を繰り返している。
古代ローマの歴史家クルティウス・ルフスがいったように、まさに「歴史は繰り返す」のだから、
未来をするには振返って過去から学ぶのが近道なのだ。
③ 軍事学
平和ボケした日本では軍事学は学問の傍流に追いやられているのが現実だが、
経営学における組織論やマーケティング論には、軍事学に由来するものが少なくない
④ 哲学
ビジネスは突き詰めると「選択の繰り返し」といえる。
ある道を信じて進むと、どこかで分岐点にぶつかる。分岐点で右に行くべきか、
あるいは左へいくべきかを悩み、意を決してその道を進むと、程なく次の分岐点にぶつかる。
(中略)
分岐点での選択には、どんな結果になってもそれを自らすすんで受け入れる覚悟のようなものが求められる。
その覚悟を作ってくれるのが哲学なのだ。
引用が長くなってしまいましたが、それぞれ非常に説得力のある説明でした。
特に生物学のところでいう「適者生存」という考え方はこれからますます重要なワードだと思います。
それは企業に限らず一人のビジネスパーソンとしてもこのルールが当てはまります。
現在研究されているAIの実用化が広がることで、さまざまな職業がなくなっていきます。
「今自分がやっていることが、5年、10年後にも職業として存在しているのか?」
を常に意識していかなければなりません。
(この辺りの意見は最近読んでいる人工知能や機械学習関連の書籍にもろに影響されています)
■今日から始める「堀式」読書術
これから読書をする/始めるにあたって、著者の経験からテクニックが紹介されいます。
細かい内容は本書をご覧いただくとして、ここでは3つ紹介致します。
<若い世代は年100冊、それ以外の人は年50冊を目標に>
若い世代(30才くらいまで)は時間に比較的余裕があるため、年間100冊を目標にします。
それ以上の世代に関しては、50冊を最低ラインとすることをすすめています。
<「累積経験値」を引き上げる>
読書によって得られる効用はすぐにはでません。
しかし、年50冊を継続していくと、まったく読まない人との差が一気に広がるポイントがでてきます。
本書では、「クリティカルマス」というマーケティングの用語を利用し説明しています。
年50冊、10年で500冊といったように「累積経験値」を積み上げる事で「クリティカルマス」を超える事ができます。
<「4:3:3の法則」で読書する>
著者は読書をするジャンルを以下の割合でする事をすすめています。
「ビジネス書:40%、小説:30%、その他:30%」
先にご紹介した4つのジャンルは「その他」に入ります。
■編集後記
本書を読んで自分が読んでいるジャンルを改めて見てみると、
「ビジネス書」:70%
「IT関連本(今の仕事に関係するいわゆる専門書)」:25%
「その他」:5%
といった感じでした。
個人的に小説を読む習慣がないため、この本をきっかけに少しは
小説なるものに手を出していこうかと思います。
(小説家の名前などほとんど知りません。。。)
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