WIN-WINの交渉術
3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術 マーク富岡 サンマーク出版 2008-06-17 |
『交渉する』というと、いかに相手を『説得』し、自分の意見を通すか?
ということに着眼してしまいがちです。
そして、この『交渉』を苦手とするビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。
特に日本人は、「空気を読む」とか「察する」という文化があるため、
思っているだけで読み取って欲しいという人が多いと思います。
本書は、世界中を駆け巡り様々な国の人たちと交渉をし、
案件を成立させてきた著者がそのテクニックを紹介しています。
■交渉力の第一歩
交渉とは、「自分を売る」ことです。
この一言だと語弊があるかもしれませんが、もっと簡単にいうと
「印象付ける」ということです。
著者はこれを交渉における「最低限のインフラ」としています。
交渉には、「相手を知る」ということはとても大事だが、
いきなり「あなたの全てを知っています」と望んではいけません。
それをしてしまうと、まず間違いなく相手に「不快感」を与えてしまいます。
まずは、自分のことを伝え、雰囲気をほぐしてから交渉に臨みましょう。
■自分を壊す(成長への第一歩)
自分よりデキル人と仕事をすると人はまず凹みます。
「自分はダメだ」と自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。
しかし、そこで考えるべきことは、「この人から何が学べるか」と言うことです。
■会議の進行
交渉の場において必要なことは以下の2つ。
【時間管理】
時間管理はアジェンダベースで進めることで行います。
この辺の内容はファシリテートにも通じる内容です。
アジェンダを使うことで、今どこの話をしているのか、
話が脱線してしまった場合もどこからリスタートするのか、ということがわかります。
【コミット】
交渉するべき項目をコミットするということはとても大切です。
交渉時のコミットプロセスは
交渉⇒議事録⇒サイン⇒回収
です。
日本の会議は長時間かけた割には何も決まっていない、
ということが多いと思います。
ダラダラと終了時間が伸びていくのはそのせいなのかもしれません。
議事録という最低限の成果物さえ作らないこともあります。
【話の展開】
話をする上でのポイントは、「事実と意見をわける」ということ。
話を聞いている人が、今話している内容は「事実」、これは「意見」と
わかるようにしなければ、交渉の場は紛糾してしまいます。
会議の進行に関しては、座る位置の内容も書いてありました。
これはとても参考になります。普段の会議でも十分に活用できる内容です。
■苦手を克服する
交渉が苦手な人はまずその原因を知る必要があります。
「なぜ、苦手なのか」
これを知ることが克服への第一歩です。
実際に交渉に臨む際は、以下のことを肝に銘じる必要があります。
「準備8割、本番2割」
この内容は私は本書の中で一番ためになりました。
今まで自分がいかに準備をおろそかにしてきたかがよくわかりました。
■Win-Winにするには
交渉において、どのようにすればお互い納得のいく結論が得られるのでしょうか。
本書に書かれていたポイントをいくつか紹介します。
【代替案の提示】
お互いが満足できる代替案を用意すること。
交渉には歩み寄りが大事だということです。
【勝てたかも?と思わせる】
交渉は常に接戦で終わらせる必要があります。
その後の、相手への印象が変わってくるからです。
余りに自分の優位な条件で合意してしまうと、その後
相手から2度と交渉してくれなくなってしまいます。
【聞き上手】
十分に相手の意見を聞くことが重要です。
自分の意見を一方的に押し付けては交渉にはなりません。
相手の本音を聞きだす質問をし、その内容を相手の立場で
理解をし、交渉する。
これがWin-Win交渉の一番のポイントです。
■感想
本書は、マークさんが各国の人たちを相手にしながら、
感じたこと・学んだことから導き出されたテクニックが沢山詰まっています。
書かれているエピソードもとても参考になります。
マークさんとは、以前土井さんのセミナー後の懇親会で
少しお話する機会がありました。
その時に聞かせていただいたお話もとても参考になりました。
■編集後記
マインドマップに関する本を購入しました。
ペンとノートで発想を広げる“お絵描き”ノート術 マインドマップ(R)が本当に使いこなせる本 (アスキームック) (アスキームック) ブザン・ワールドワイド・ジャパン、ブザン教育協会 アスキー・メディアワークス 2008-06-30 |
公認インストラクターの方がマインドマップについていろいろ語っています。
以前セミナーでご一緒させていただいたいがじゅんさんもDVDで
マインドマップについて説明されています。
iMindMapの体験版もついていたので、今度試してみたいと思います。
コメント
バリ島からマーク富岡です。
こんにちは、長谷川さん、ご無沙汰しています。
いつも書評楽しく拝見させております。
長谷川さんのブログで紹介されている本はポイントがまとまっているので、ついつい読みたくなって買ってしまいます。
このたび弊著書のご紹介があり、びっくりしました。「3000人のユダヤ人~」も買いたくなりましたよ。(笑)
マインドマップも素敵な感じで、とても嬉しく思います。永久保存いたします。
またお会いできますこと楽しみにしています。 マーク富岡
マークさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
著者であるマークさんからコメントいただけるとは、
大変光栄です。
> マインドマップも素敵な感じで、とても嬉しく思います
ありがとうございます。
次にお会いできることを楽しみにしてます。