知の巨人が語るプロとしての心得を吸収する
ドラッカーさんに教わったIT技術者が変わる50の習慣 恒川 裕康 秀和システム 2013-12-26 |
「知の巨人」と言われたピーター・ドラッカー。
日本では「もしドラ」が大ヒットし、最近では「もしイノ」が発売されるなど、
ビジネスパーソン以外にも認知度が非常に高い存在です。
本書はそんなドラッカーの数多くの著書から、IT技術者が取り入れるべき
考え方や習慣をエッセンスとしてまとめたもの。
IT技術者向けのビジネススキル本という位置づけで、以下の目次構成です。
第1章 スキル向上の秘訣
第2章 生産性向上の技訣
第3章 コミュニケーション力アップの秘訣
第4章 成功するプロジェクト管理の秘訣
第5章 よいリーダーシップと育成の秘訣
終わりに―求められる勇気と倫理
本書で書かれている事は内容は、仕事を始めたばかりの新人から管理職になられた方まで
幅広い人に役立つこと(背筋を正すキッカケになること)ばかりです。
ITに携わるすべての方にお勧めです
■スキル向上の秘訣
ITという世界は日々新しい技術が生まれては消えていきます。
そんな業界に身を置くIT技術者は日々スキルアップを求められます。
IT技術者としてスキル向上するための習慣を本書では11個紹介していますが、
私なりに「判断基準」「モチベーション」「成長」という軸で整理してみました。
<判断基準>
IT技術者はプロフェッショナル職です。
そのため、プロとしての責任を果たすためには、その判断基準を「貢献」に
する必要があります。
常に冷静に物事を捉え、事実と感情を切り分けるコントロール能力が必要です。
<モチベーション>
IT技術者はアメとムチのような外発的動機付けより、内発的動機付けにより
モチベーションをあげていく事が大事です。
内発的動機付けとは、以下のようなものです。
自分で選択しながら仕事を進められるという自律欲求、
より価値のある能力を身につけたいという向上心、
社会への貢献などの志や目標
つまり、外からの刺激でなく、自分自身にもっている欲求により、モチベーションを
あげることが大事という事です。
スタートアップ企業の中の人や、OSS開発をしている人などはまさにこれですね。
<成長>
成長するための秘訣は「目標を決めること」。
これ自体は当たり前の事なのですが、実践するとなるとハードルがあがります。
ただ、以下のように考えるとハードルも下がります。
1日に0.3%バーションアップする。そうすれば、1年で2倍になる。
目標を立てて、日々0.3%成長することができれば、1年後には成長が実感できるでしょう。
■生産性向上の秘訣
「生産性」という言葉は定義が非常に曖昧なのですが、様々な場所で利用されます。
プロとして仕事をするIT技術者も生産性ということを重視する必要があります。
生産性向上の秘訣という事で、以下の2つを紹介します。
<時間を記録/分析する>
作業時間を計測して分析する。これをやるだけで、自分がどこにどのくらい
時間を取られているかがわかります。
人は主観的な時間感覚と実際の時間が異なります。
それを「見える化」することで、自分のどこにボトルネックがあるのかがわかります。
<順序の見直し>
作業の順序の見直し方法は、分解➡分析➡再構成です。
効率の悪い順序でやっているものは、分解してパーツ化することで、
要素を客観的に見る事ができます。
この方法はIT技術者には非常に受け入れられやすいのではと個人的には思います。
プログラミングがまさにこの順序で行われているからです。
(実際は頭の中の話ですが)
■編集後記
IT技術者向けという事で、本書に記載されている状況や例などは
非常に身近なものでした。
本書の中で一番印象に残ったのは「自分でやった仕事は自分の作品」という言葉です。
これがプロ意識なのだな、と膝を打ちました。
発する言葉、作成するものの品質、コミュニケーションすべてに通ずるものです。
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