論理的な議論をするための基本スキル
論理が伝わる 世界標準の「議論の技術」 Win-Winへと導く5つの技法 (ブルーバックス) 倉島 保美 講談社 2015-05-21 |
長い時間話し合ってもなかなか結論が出ない、結論はでても
双方が納得いく形ではない。自分の言いたい事が伝わらない。
ビジネスをしていると上記のような状況によく遭遇します。
その原因は「会議の仕方」「資料の構成」など複数の要因がありますが、
その根本にあるのは、『議論の仕方』です。
本書は、『議論』にポイントを絞り、基礎から議論に必要な技術を教えてくれる一冊です。
『議論の基礎』『議論の技術』『議論の実践』という構成になっています。
本エントリーは『議論の基礎』部分に絞ってお届けします。
■論理的な議論
論理的な議論の特徴を本書では以下のように定義しています。
何を議論:施策を検討する
どう議論:根拠を検証する
なぜ議論:最適な結論を導き出す
この中で特に重要なのが「何を議論」の部分です。
つまり、議論をするテーマによっては、論理的な議論に向かないものがあります。
代表的なものは「価値の判断」です。
価値観や習慣などは論理的なアプローチでは議論になりません。
(「ペットは幸せか?」などは典型的な例です。その人のバックグラウンドや
価値観に完全に依存するので、論理的な立証もできなければ、反証もできません。)
■主張・根拠(理由とデータ)
議論の基本は主張です。
その主張に対して、反論を展開していき、最終的な結論を導き出す事になります。
その主張に欠かせないものが「根拠」です。
この「根拠」もまた「理由」と「データ」で構成されます。
つまり、
・主張には理由が必要
・理由にはデータが必要
という関係性になります。
理由がない主張は「〜すべきである」で止まってしまい、非常に弱いものです。
データがない理由も見方によってはダダをこねているだけに見えます。
主張に対する理由は一つではなく、また1階層で構成されるものでは
ありません。
主張を立証するために必要なだけの個数、階層を持ちます。
■議論のルール
議論をするためにはルールが必要です。本書では以下の5つが挙げられています。
- 言い出した側が証明する(立証責任)
- 沈黙は了承である(反証責任)
- 新しい論点を後から出さない
- すべての根拠に反論する
- 論理だけで議論する
この中で特に重要なのは1つ目の立証責任です。
主張を正しく立証できなければ、その主張は受け入れられません。
また、主張に対して反論した場合、その反論に対する立証責任が必要になります。
例えば、「人事制度で成果主義を導入するべき」という主張は、
「なぜ導入する必要があるのか(理由)」
「導入前後でどのような変化が起こるのか(データ)」
が必要です。
これは主張を言い出した側が証明する必要があります。
また、注意点としては立証されていない主張に対して、
反論してはいけないということです。
立証されていない主張に対して、反論してしまうと反論した側に
立証責任が生じてしまいます。
論理的な議論をしていくためには、主張が正しく立証されてから
反論していくことが大切です。
■編集後記
ロジカルシンキングや会議術などの書籍は今まで読んできましたが、
本書のような議論をテーマにしたものは今回初めて読みました。
基本的な構成から、実例をベースにしたポイントの解説など
全体的に読みやすい構成になっています。
主張・根拠・理由・データの関連が非常に重要だと身にしみました。
明日からでもビジネスで使えるので、早速活用していきます。
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