プロフェッショナル進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる 田坂 広志著

プロから新たな領域への進化


プロフェッショナ進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる プロフェッショナル進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる
田坂 広志

PHP研究所 2007-04-19
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活躍する人材は時代と共に変化していきます。
スペシャリスト・ゼネラリストからプロフェッショナルが求められるようになった
時代は更なる変化を迎るようになりました。
それは、『個人シンクタンク』という新たな領域へ進化です。

本書は、今どのような人材が活躍できるのか、そしてそのような
人材になるためには何をすればよいのか、ということが田坂さんの
鋭い視点で書かれています。


■時代の変化
90年代後半から現在にかけて、ビジネスを取り巻く環境に
2つの大きな変化がありました。

一つは、インターネット革命
これにより、情報を得る・伝えるが非常に容易になりました。

この革命から生まれた代表的なものがLinuxなどのオープンソース(OSS)。
場所・時間を問わずあらゆる人が開発に携わり、
いまではどんどんOSのシェアを伸ばしています。

その他にも様々なOSSがSVNやCVS※ソース共有のもと開発が行われました。
これは現在でも続いています。
SourceForge.jpなどを覗いてみるとよくわかります。
このサイトに登録されているだけでも、2500プロジェクト動いてますね。

※SVNやCVSは構成管理ツールです

もう一つは、Web2.0革命

この革命は、インターネット革命が進化したもので、以下の3つから成り立ちます。
1.衆知創発革命
 今までは「今ある智恵」しか手に入らなかったものが、「今ない智恵」が
 ネット上にどんどん生まれてくるようになった。

2.主客融合革命
 情報の送り手・受け手という垣根がなくなった。
 Amazon書評レビューやブログなど、情報の受け手が送り手に
 なりえるコンテンツが発達してきた。

3.感性共有革命
 今までは文字による情報のみだったのが、
 YouTubeに代表される動画コンテンツが充実してきた。
 これにより、言葉では伝えられない感性の共有が可能になった。

■進化の必要性
時代の変化により活躍する人材も変化するようになります。
それが本書で定義している『個人シンクタンク』への変化です。

個人シクタンクに必要な力は7つあります。
7つを自分なりに3つにカテゴライズしてみました。

【物語を作る力】
自分が持っている情報や知識をそれを知らない人にわかりやすく伝える力。
伝えるためには、点の状態を咀嚼して、線にする必要があります。
その線に相手を導くことで内容が伝わります。

メッセージ力

【生み出す力】
沢山の情報をまとめ、新しいものを作り出す力。
会議から何かを生み出したり、世の中に流れている情報から
ひとつの道を生み出す力。

インテリジェンス力

コミュニティ力

コンセプト力

【見る力】
世の中の流れの先を読み、自分の考えから導き出した方向へ
信念をもって向かっていく力。

フォーサイト力

ビジョン力

ムーブメント力

う~ん。うまく分類できたのかな?

■進化するための戦略
進化するためには6つの戦略があります。
その中からいくつか紹介します。

1.概観と集中の切替
情報が得やすくなったということが、必要な情報とそうでない情報を
分類できなくてはいけません。

また、必要な情報の中でも深く掘り下げて知るべき情報と
概観だけ理解できれば良いものもさらに分類する必要があります。

このように、情報のトリアージを正しく行い、情報の海に飲まれないようにします。

また、深く掘り下げる分野と概観だけ理解する分野、この2つを正しく吸収することで
複数の自分をマネジメントすることができます。

2.師匠サイト
プロフェショナルとして活躍されている人のサイトからは
沢山のことを学べます。

例えば、『発想』『語り方』『活動』など。

そのサイトを師匠サイトと位置づけ、師匠の思考や活動などを
追いかけていくことで、『智恵』を学びます。

3.パーソナル・メディア
自分を磨く修練の場として、パーソナル・メディアをもつ。

現在はブログなどが簡単に作成できるので、その場を通じて、
自分を磨きます。
発信する情報には、自分の言霊をこめます。

また、『ギブンアンドギブン』も忘れてはいけません。
とにかく与えることに注力します、もらうことばかり考えていては
何も蓄積されません。与え続けて初めて得るものがあるのです。

4.フィールド
智恵には、『書物で学んだ智恵』と『経験から学んだ智恵』の
2種類あります。

書物のみで学んだ智恵というのは、経験が伴っていないため、
語るときの言葉が軽くなることがあります。

『経験から学んだ智恵』は、自分で体験して学んだものなので、
説得力もあります。
経験から学んだ智恵を沢山持つことが、個人シンクタンクへの
進化条件になります。

■まとめ
『個人シンクタンク』という新たな職業体系を定義することで、
ビジネスマンは常に学び・進化しなければならない、という
田坂さんのメッセージが伝わってくる一冊でした。

本書の中で一番ズキンときたのは、この言葉。

『下段者には、上段者の力はわからない』

下段者には上段者の力を図ることができない。
なぜなら自分の枠でしか、力を測ることができないためである。

常に謙虚でいるとが大事だということを改めて確認しました。


☆学びの継続
☆経験でしか学べない
☆ブランドとは信頼

お薦め度:★★★★★+プロからの脱皮


書評後記
ものすごく濃い一冊でした。

自分には絶対的に体験が足らないということを
再確認しました。

学び⇒行動を続けることでフィールドを徐々に広げていきたいです。


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コメント

  1. 長谷川さん、こんばんは!
    十分過ぎるほど中身が充実した1冊ですよね~。一読してすべてが身につくという物でもありませんが、一つずつでも力、身につけていきたいですね^^
    TBありがとうございました。

  2. 長谷川佳之 より:

    淺田さん、こんにちは。
    コメントありがとうございます。
    >一つずつでも力、身につけていきたいですね^^
    そうですね。
    地道に一つずつこなして大きくなっていきたいものです。

  3. [本] 『プロフェッショナル進化論』 田坂広志(著)

    『価値を生み出すのは会社ではなく個人である。』先月読んだばかりの『シリコンバレー精神』の著者梅田望夫氏はこう提議していた。著者である 田坂広志氏は、イン…

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