論理思考のバーチャル講義
頭がいい人の「論理思考」の磨き方 渡辺 パコ かんき出版 2015-03-18 |
物事を考えるときに、あれこれ回り道をしてしまうことや
折角考えたことが伝わらなかったりすることがあります。
これは、ビジネスをする上ではマイナスです。
本書はこのような状況を打破するために必要な論理思考について、
理論(ツールや手法)➡実践(ケーススタディ)という流れで書かれています。
本書の特徴はこのバーチャル講義形式だけでなく、
帰納法やMECEなどの「限界」について書かれているところです。
個人的にはこの「限界」部分が意識できたことで、これらのツールの
使い方が変わってくると感じました。
論理的思考ツールについて
「理屈はわかるけど、どうやって使うの?」
と言う方は一読をオススメします。
■思考ツール
論理思考を身につけるために、有用なツールとして本書では
以下の5つが紹介されています。
帰納法
演繹法
MECE
ロジックツリー
ピラミッドストラクチャ
いずれもおなじみのツールですが、本書ではそれらの「限界」についても記載されています。
【帰納法の限界】
帰納法では「蓋然性(正しさの度合い)」という概念が
必要になるが、蓋然性の判断は難しい
【演繹法の限界】
演繹法は大前提➡小前提➡結論という流れで、論理的な
説明をするものだが、大前提の正しさを証明するのは難しい
抜粋で2つ記載しましたが、このようにツールにも限界が
あることを示し、その上でビジネスで利用するにはどのような
考え方で使うのが有用かを示しています。
個人的には「MECE感」という言葉がヒットでした。
(詳細は本書で)
■思考手法
思考ツールと思考手法の違いについて、本書では以下の記載があります。
ツールと手法は似た言葉なのでわかりにくいかもしれないが、
前章で説明したツールはどちらかというと電動ドリルや
チェーンソーなど、大がかりで様式化されたものであり、
これから紹介する手法はドライバーやカッターのような、
常に身近に置き、使いこなしていくハンドツールにあたるものだ。
この思考手法は「So What?」「True?」「How?」といった内容が紹介されています。
So What?はSo Why?とセットでよく語られるものです。
「だから、何?」という問いかけを続けることで、物事を分解したり、
深堀りしたりする手法です。
この深堀りしたものについて、True?を用いて検証します。
■思考ミスの落とし穴
論理的に考えているつもりでも、誤った方向に結論が
向かってしまうことがあります。
本書では、思考ミスの落とし穴として以下の4つが上げられています。
- イシューをつかまえきれずに、目移りして狙った獲物を手放して違う獲物に向かって奥に進んでしまう
- 誤った前提、隠れた前提に気づかない
- 事実の誤認、事実の過大/過小評価
- 公平な判断ができない
いずれの項目も非常に重要な内容になっています。
物事を考えるときに、常に前提や方向性を確認するといったことは
対象とする事象に対して慣れがあると忘れてしまいがちです。
特に1つ目の「イシュー」については間違えると全く違う
結論になってしまうので、常に意識したい事柄です。
■編集後記
本エントリーでは、本書の第1部「考える力」のみを紹介しました。
本書には第2部に「伝える力」についての講義もあり、こちらも有用な
講義になっています。
本書の途中に「論理思考になってくると人が悪くなる」という一文がありました。
確かに論理的に説明をする人/求める人はちょっとドライな印象が
ありますが、成長の代償ということでしょうか。
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