プログラマから学ぶ仕組み化の本質
小飼弾の 「仕組み」進化論
日本実業出版社 2009-03-19 |
アルファブロガーで有名な小飼弾さんの著書です。
本書は、弾さんのもう一つの顔(本職?)であるプログラマから
仕組み化の本質について言及しています。
プログラマの世界を知らない人でも本書に書かれている
『新20%ルール』や『プログラマの三大美徳』といった内容は
仕組み化のポイントして取り入れることができると思います。
仕事の仕組み化や習慣の定着に興味がある方にお勧めです。
■新20%ルール
現在の社会は高度に仕組み化が進んだ社会だといえます。
しかし、仕組みは時代が進むとともに陳腐化(時代遅れ)します。
陳腐化された仕組みでまわし続けるのには限界があり、
それを改善する必要があります。
その改善方法が『新20%ルール』です。
⇒『新』というのは、グーグルなどの企業で導入されている
「20%ルール」からきています。
新20%ルールとは、
既存の仕組みで仕事を20%の枠に収め、新たな仕組みづくりに
残りの80%を使う
というもの。
■仕組みの仕組み
仕組みを考える上で必要なのは、仕組みがどのような要素で
成り立っているかを知ることです。
本書内では、
あらゆる仕組みは、「テコ」と「奴隷」でできている
と述べられています。
「テコ」とは、自分の力を変換する道具のこと。
「奴隷」とは、自分以外の力のこと(他力)。
⇒他力を使った仕組みはマニュアル作りなどがあります
この仕組みの仕組みを知ることが、仕組みづくりの第一歩になります。
「テコ」を利用した仕組みには、次のようなものがありそうです。
・PCなどを利用した作業の自動化(公式やアルゴリズムを理解した上で)
・リマインダー機能やチェックリストを利用した「忘却防止」
一方、「他力」を利用した仕組みには、
・マニュアルを利用した仕事
⇒これは「テコ」を利用したもの。「テコ」のアウトプットを
「他人」に利用するという理解が正しいのかも。
などがありそうです。
⇒これからの時代は(もうすでにそうですが)、グローバルな
リソースを利用した仕事が多くなってきます。
そうなると、この「他力」を利用した仕組みというのは、
とても重要になっていくことになります。
どのような人がやっても、一定レベルの品質が確保できるような
仕組みを作れる人がこれから重要なポジションを任されるのではないでしょうか。
《仕組みの3原則》
仕組みづくりには、それを運用していく上で必要な原則があります。
本書では、3原則として以下の3つがあげられています。
第一条
仕組みは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条
仕組みは人間に与えられた命令に服従しなければならない。
ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条
仕組みは、前掲第一条および第二条に反する恐れのない限り、
自己を守らなければならない。
この3原則の一番のポイントは「安全性」です。
仕組みが安全でないと、それを守るべき判断基準が曖昧になってしまいます。
■プログラマ三大美徳
プログラミング言語Perlの開発者ラリー・ウォールはプログラマーの
三大美徳を『怠慢』『短気』『傲慢』としています。
これらは仕組みづくりを行う上で、学ぶべき「徳」です。
あまり「美」のようには見えませんが、これらを仕組みづくりに応用すると、
・できるだけ自動化し、自分でやらない(怠慢)
・柔軟な構成にし、文句を言われないようにする(短気)
・メンテナンス性をあげ、使い続けるものにする(傲慢)
となります。
⇒とても弾さんらしい内容です。
私もSE(たまにプログラマー)なので、この定義はとても腑に落ちます。
この仕事をしている人種はみんな、似てるんですよね。
■感想
本書の前半部分のみ取り上げました。
後半には、『仕組みの作る際のポイント』『コストとの兼ね合い」
「仕組みの未来」など参考になる部分は満載です。
個人的には前半が肝だと思ったもので、前半のみにしました。
「仕組み化」を推進して効率的に仕事をこなす。
去年/今年あたりはとてもブームになっていることだと思います。
色々ある仕組み本の中でも本書は著者のバックグラウンドを
十分に活かしたものだと思います。
■マインドマップ
■編集後記
前回の更新から3ヶ月も空いてしまいました。
相変わらず、インプットは安定していてアプトプットは不安定。
そんな感じです。
読了した本の一言書評は、メディアマーカーに書いています。
未更新期間をダラダラと延ばさないように気をつけます。
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