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コンサルタントの「質問力」 (PHPビジネス新書 52) 野口 吉昭 PHP研究所 2008-03-19 |
日々ビジネスをしていると、必ずコミュニケーションが発生します。
その中で「質問をする」「質問される」が締める割合は
かなり高いのではないでしょうか。
特に、日本語というのは曖昧であるため、日本でビジネスを
している場合はなおさらです。
本書は、会話のイニシアティブを握り、相手の要求を効果的に
引出すためのテクニックが満載の一冊です。
タイトルに『コンサルタント』と書かれていますが、
すべてのビジネスパーソンが使える内容になっています。
■質問力
ビジネスをしていると稼動時間内でコミュニケーションが占める割合が多いです。
効果的なコミュニケーションは質問力にあります。
著者は質問力を
1.仮説力
2.本質力
3.シナリオ力
の3つで成り立つと定義しています。
※コンサルタントは3つに分けたがると小宮一慶さんが
以前セミナーで仰ってました。「職業病」だと(笑
■仮説力
様々な情報を集めてヒアリングを行う際、その情報の中から
仮説を立てることで方向性が定まります。
何も決めない状態で質問をすると話の軸がないため、
空中戦になってしまうことがあります。
仮説を立てるための有効なロジックがいくつか挙げられていたので、
その中から2つ紹介します。
【ロジックツリー】
質問を組み立てるのに有効な手法です。
本書では『蝶ネクタイチャート』というアプローチが提唱されていました。
これは、「ボトムアップ型」と「ブレイクダウン型」を組み合わせた手法です。
ボトムアップしたもののブレイクダウンするのですが、
ボトムアップを1つの塊にカテゴライズするところがすごく難しいと思います。
ここはやる人の実力が反映される部分かと。
予断ですが、この考え方は旧システムから新システムへの
論物設計のアプローチに似ています。
「新論理」を作るところにそのSEの実力がでるのと同じ。
【ゼロベース】
対象としてる物事に対しての知識があるとどうしても
今ある知識や経験から『先入観』が刷り込まれていることがあります。
そんなとき、思い切ってゼロベースで考える(立てた仮説を捨てる)ことも
仮説を立てるときには重要です。
第3者の視点で物事を捉えられるというのもテクニックということですね。
■本質力
会話相手に「こいつ、わかってるな」と感じさせるために、
物事を本質に捉えることは重要です。
本質力のポイントは「見える化」です。
相手が今どんなことを考えていて、自分のもっている情報と
付け合せて何が本質かを見抜き、それを短いメッセージで伝えることで
「見える化」を行います。
そのためには、「共感」と「伝達」が重要になります。
【共感】
共感をしていることを相手に伝える有効な方法はよく聞くことです。
人は話をする方が聞くことよりも好きなので、よく話を聞いてくれる人は
共感してくれていると感じます。
そのためのテクニックは「頷き」です。
とても簡単なことのように思いますが、効果的なタイミングで頷きを入れることで、
相手にいい印象を与えることができます。
【伝達】
短いメッセージで、相手の言っていることを要約したり、
質問することで、相手に「おっ」と思わせることができます。
本質的な短いメッセージを発信するのは難しいことです。
普段から意識して要約できるように、「エレベーターテスト」等の訓練が必要です。
この2つを意識して使うことで、聞くことを中心にしながら会話のイニシアティブを
握ることができます。
本質力を磨くには、「探究心」を忘れないことです。
常に意識してこの本質は何だ?と考える訓練をすることでこの能力は磨かれていきます。
■シナリオ力
シナリオ力とはフレームワークを使って会話を組み立てることで、
効果的な質問をするということ。
思考のフレームワークというと
ポートフォリオ分析
SWOT分析
コアコンピタンス
など、沢山あります。
が、重要なのはこれらを知っていることでなく「使いこなすこと」です。
フレームワークはあくまで枠組みであり、それを応用できてこそ、意味がある。
■感想
コンサルタントしての視点で書かれた一冊ですが、
本書の内容はすべてのビジネスパーソンに必要なものです。
本書を読んでいると著者は3つの力それぞれについて本が書ける気がします。
本書の最後の一言
質問力なきコンサルタントやビジネスパーソンは
プロフェッショナルとはいえない
これが著者の伝えたかったすべてだと私は感じました。
■編集後記
読了済で未紹介本が沢山あるので、再度フォトリーして紹介していきたいと思います。
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