プロの資料作成力 清水 久三子著

プロの資料は「わかる」資料


プロの資料作成力 プロの資料作成力
清水 久三子

東洋経済新報社 2012-05-25
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ビジネスパーソンは日々様々な人向けに資料を作成します。

その資料は「報告書」「提案書」など種類も様々で、その目的も異なっています。

「報告書」は受取る側に状況を理解してもらうことを目的とし、

「提案書」は受取る側に何らかのアクションをしてもらうことを目的としています。

 

本書では、長年コンサルタント向けに指導を行ってきた著者が

「プロが作る資料に使われているテクニックや思い」を

惜しみなく公開した一冊です。

 

本エントリーでは紹介しませんが、グラフやチャートに関する

テクニックもすぐにでも使えてオススメの一冊です。

 

■「わかる」とは

資料を見て「わかる」とはどういうことでしょうか。

本書では、「わかる」を以下の2つに分けて定義しています。

意味がわかる:情報の量と質が適切で脳に収めやすい

意義がわかる:論理的・感情的に受け入れやすい

この2つの「わかる」を満たすことができて質の高い資料となります。

 

「ん〜、よくわからない」といわれてしまうのは、前者が不十分

「で、どうすればいいの?」といわれてしまうのは、後者が不十分

 

本書では、上記それぞれを説明するのに、「料理のテクニック」

「おもてなしの心」という表現を用いています。

詳細は本書をご覧にいただくとして、とても腑に落ちる比喩です。

 

■プロ資料の3要件

プロフェッショナルな資料が満たしている要件は本書によると

以下の3つになります。

  1. 期待値を理解している
  2. 達成基準が高い
  3. 安心・満足・感動を与える

 

 <期待値を理解している>

  期待値を理解してないと独りよがりな資料になってしまいます。

  必要な情報が足りなかったり、余計な情報が多かったり。

  相手が求めているもの(=期待値)を理解し、満足する事が

  1つ目の要件になります。

 

 <達成基準が高い>

  ここでいう達成基準はスピードです。

  どんなに素晴らしい資料でも作るのに、何週間もかけていては話になりません。

  スピードを高めるためには、不要な情報を削ぎ落とすことや

  資料作成プロセスを確立していることなど、ビジネスパーソンとしての地力が求められます。

 

 <安心・満足・感動を与える>

  安心は、「資料に誤字脱字がない」「論理矛盾がない」など最低限なレベル。

  満足は、「期待通り」というMustなレベル。

  感動は、「おぉ!!」というレベル。

  安心・満足は当たり前として、感動までもっていくのがプロです。

 

■資料作成のステップ

「意義がわかる」「意味がわかる」資料作成は以下のステップにて行います。

Step1.目的(何のために)

Step2.ターゲット(誰に)

Step3.メッセージ(何を)

Step4.構成

Step5.ビジュアル化

Step1〜Step3が「意義がわかる」資料作成のための作業、

Step4〜Step5が「意味が分かる」資料作成のための作業です。

 

各Stepの詳細はネタバレになってしまうので、割愛しますが、

このStepを意識して資料作成をすれば、確かに良いものができます。

人の資料をチェックするときのポイントにもなるかと。

 

■編集後記

システムエンジニアという職種も様々な資料の作成をします。

(プログラミングばかりやっているイメージがあるかもしれませんが)

自分の思いを資料に詰め込みすぎて「よくわからない」といわれたり、

「で、どうすればいいの?」とやってほしいことに繋がらなかったりと、

痛い思いをしたことも多々あります。

 

逆に、受取った資料を見て、「で?」と思った事も何度もあります。

 

本書は後輩などが作成する資料の意味がわからなかったり、

受取る側のことを考えていない「独りよがり」な資料になっていたときに

適切にアドバイスできるトピックスも多くあります。

 

社会人3年目くらいで、会社の上司向け報告、お客さま向け報告などを

しているビジネスパーソンは読んで実践することで、

「一目を置かれる存在」になることができるでしょう。

 

コメント

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