ITのプロへの道標
SEのための価値ある「仕事の設計」学 森川 滋之 技術評論社 2008-03-25 |
ビジネスパーソン向けのキャリア本は今までいくつか読んできました。
今回ご紹介する本は
SE(システムエンジニア)に特化した
キャリア本です。
ITのプロフェッショナルとして、キャリアを積んでいくためには
どのような知識が必要なのか、そしてどのようなスタンスで
仕事に望むべきなのか。
これらが著者の経験をもとに、述べられています。
本書のターゲットは30代でキャリアの転換期を迎え、
将来に不安をもっているSEですが、仕事にある程度なれてきて、
これからどのようなキャリアを歩んでいこうか
悩んでいる全ての人に有効です。
■30代SEの迷い
SEという職種はある程度キャリアを積んでいくと
純粋にシステムを『作る』ということに専念できなくなってしまいます。
チームを率いる『プロジェクトマネージャ』や『ラインマネージャ』に
なることを選択しなければいけなくなります。
しかし、上記役割は『作り』を好んで行うSEにとって
必ずしも魅力的なものではありません。
このような役割のシフトが30代SEに迷いを生じさせ、
『やりがい』を奪っている可能性があります。
→本書のコラムにあるアセンブラの話はとても面白いです。
C言語のコンパイラによる最適化を疑ってかかるなんて、
今では考えられません。
本物の技術者というのは、こういうことをしている人たちの
ことをいうのだな、とつくづく感じました。
いまの自分は『技術者』としては半人前以下だと痛感しました。
■ユーザー主導開発時代
システム開発は『発注者』と『受注者』の間での役割が
かわりつつあります。
従来は、システム開発のプロであるSI会社がユーザー会社から
仕事を請負い、業務に関する設計にもSI会社が関わっていました。
しかし、これからの時代はユーザーが
業務設計やプロジェクトマネジメントを行う
『ユーザー主導時代』になってきます。
このような時代の中で、SEがシステム構築のプロとして、
身につけておくべきスキルはなんでしょう?
それは、
『システムグランドデザイン』能力
『プロジェクトマネジメント』能力
の2つです。
この2つの能力は、『迷えるSE』の一定の道標になります。
■システムグランドデザイン
システム構築のプロとして仕事をする上では、
必ず技術的なスキルが必要になります。
システムグランドデザイン能力は、
・ソフトウェア方式設計
・インフラ設計
・業務理解
というスキルセットが必要です。
<ソフトウェア方式設計>
ソフトウェア方式設計とは、ソフトウェア(システム)を
作成するための、基礎的なスキルセットで
5つのスキルからなります。
・開発言語、フレームワークなどに関する知識
・データ構造とアルゴリズムに関する知識
・基本ソフトに関する知識
・パターン化&統合能力
・開発規約作成能力
これらの細かい説明は割愛しますが、
かなりベーシックなスキルです。
どのような仕事をするにしても、ベーシックスキルは重要です。
SEのベーシックスキルをあげるとしたらこれで十分です。
若干多すぎる感もありますが。。。
本書の中で書籍の紹介もされています。
『 アルゴリズム+データ構造=プログラム 』
この書籍は絶版みたいです。。。
OSの仕組みを勉強するための書籍として紹介されています。
<インフラ方式設計>
インフラ方式設計とは、主にデータベースやネットワークなど
基盤に関するスキルセットで6つのスキルからなります。
・ハードウェアに関する知識
・ネットワークに関する知識
・データベースに関する知識
・アーキテクチャ選定能力
・規模見積もり能力
・セキュリティに関する知識
アーキテクトに求められる能力にかなり近いスキルセットです。
インフラ知識はないと、処理に関する評価ができないことがあります。
最近はハードに関する処理能力が格段に高くなったため、
気にしなくてもいいと思うことが多いですが、
それでもクリティカルな開発を行う場合は、必須です。
→ここの知識不足を今痛感しています。
本書にあげられている内容くらいは押さえたいと思います。
<業務理解>
ユーザー主導時代では、業務設計はユーザーがメインで行います。
しかし、SEとしてユーザーと会話をする上では業務知識は必須です。
業務理解力は4つのスキルからなります。
・一般知識
・インタビューノウハウ
・業務フロー作成能力
・データ分析能力
ユーザーとベンダー間では時に「壁」が存在します。
原因は、両者間での知識に関するバックグラウンドの違いです。
壁をなくすために、SE側からユーザー側へ歩み寄るためには、
このような業務理解力はとても大事です。
参考書籍も紹介されています。
この書籍は発注側から要求を出すときのポイントが
書かれているようです。
■プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメント能力で記載されいてるのは、
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)と
ビジネススキルです。
システム開発プロジェクトを遂行していくため、
よりよいシステムを作成するために必要なスキルについて、
記載されています。
詳細はマインドマップをご参考ください。
■感想
悩めるSEの一人として、とてもためになる一冊でした。
「システムグランドデザイナー
」という
新しい役割が自分の目指すべき方向のような気がしてきました。
本書で記載されていたスキルは一朝一夕で
身につけられるのものではありません。
プロとして働くために地道に努力していきます。
■編集後記
GWは結局ゴロゴロと過ごしてしまいました。
書籍の整理もできずorz
■マインドマップ create by XMind
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コメント
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