ザ・プロフェッショナル 大前研一

「見えざる大陸」でのプロフェッショナル


ザ・プロフェッショナル ザ・プロフェッショナル
大前 研一

ダイヤモンド社 2005-09-30
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「プロフェッショナル」という言葉は聞き心地はすごくいい。
でも、その定義とプロでない人との違いをキチンと理解して
使っている人はあまり多くないと思います。
私もその一人、「スペシャリスト+ゼネラリスト」と漠然と定義し、
そこに目標を置くと考えていました。
しかし、この考えは全然いけてない。
第一、どんな人なのかわからないのに目指せるわけがない。
この本を読んで漠然としていたプロフェッショナル像が
少しはっきりしました。


本書の目的は単なるHOW TO本ではなく、プロであるが故に
このような思考により成功した企業の事例、また反対に
この思考が足らないから失敗した事例などが解説されています。
「先見力」、「構想力」、「議論する力」、「矛盾に適応する力」と
いうカテゴライズにより構成されており、それぞれの題材に
あった事例が書かれています。
この中で私が興味深く読んだのは「構想力」の章で書かれている
「イリジウムの失敗」です。
「イリジウム」といえば一昔前に衛星携帯電話として
話題をあつめ、世界中どこでも話ができるというコンセプトで
作られました。しかし、実際は価格が高く、電波品質も
よくなかったため、あまり普及せず終わりました。
「いつでもどこでも」というユビキタスな発想はとても
よかったが、インフラおよび実際に使う人の財布まで意識した
「具現化する力」が不足していたため失敗しました。
「アイディアは実現してこそ意味がある」とよく言いますが、
実現するということの意味を誤るとこの事例のようになると
いうことです。
また、「議論する力」の章に書かれている格言的な一言。
「ロジックは共通のプラットフォーム」
というのも納得でした。
議論とは感情でするものではありません。
しかし、「自分の意見は絶対」としてまったく論理的でないのに
引こうとしない人が結構います(困ったものです)。
ましては、「沈黙」をきめる人は言語道断です。
会議で黙っている人は参加しているとは言いません。
単なる情報共有ならばメールでしてしまえばいいのです。
会議で話さないのはいないのと同じだと私は考えます。
この本に紹介されている事例はいづれもアフターゲイツと
大前氏が定義している1995年以降のものです。
アフターゲイツ時代にうまれた「見えざる大陸」で
必要となる人材こそが真の「プロフェッショナル」であると
いえるでしょう。


☆ プロの再定義
☆ 習慣化した分析力
お薦め度:★★★★★+生み出す力


マインドマップ
プロフェッショナル


つぶやき
私が籍を置くIT業界でのプロフェッショナル定義は
次のようになっています。(ITSSから抜粋)
—————————————
プロフェッショナルとはビジネスを成功させ、
産業界の発展に貢献する人材である。要件は次の通りである。
・顧客あるいは組織に対してのコミットメントを達成する
・自らの経験を継承するために後進を育成する
・継続的に自らの実務能力を向上させる活動を実践する
・社会的な責任と専門家としての倫理観を持つ
——————————————
ん~、わかるようでわからない。。。
自分の中ではっきりとした定義が必要ですね。

コメント

  1. ks より:

    古いブログにたいするコメントとなりますが、
    私は、プロフェッショナルマインドについて研究しており、本ブログを検索し見つけました。
    プロフェッショナルというといろいろな事を想像することができますが、その言葉の定義がというよりも、実際にある仕事により生活している人を指していると考えた方がいいように思っています。とかく、ビジネス書や自己啓発的な観点から、理想的な要素を挙げがちですが。
    むしろ、リアリティのあるプロのイメージを考える上では、IT業界や通常のビジネスの世界より、全く異なるプロの世界を参考にするのがよいと思っています。つまり、異分野のプロから学ぶのがいいかなあと思っています。

  2. ksさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。
    自分が知らない世界のプロフェッショナルから
    学ぶという助言、ありがとうございます。
    確かに異分野の方に関する情報というのは、
    あまり収集していませんでした。
    今度ビジネス、IT以外のプロの書籍を
    読んでみます!

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