SEは死滅する もっと極言暴論編 木村 岳史著


日本型IT産業への提言


SEは死滅する もっと極言暴論編 SEは死滅する もっと極言暴論編
木村 岳史

日経BP社 2015-04-18
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日本のIT産業について、日経コンピュータ編集長が現状と

未来について語った一冊。

 

タイトルは非常に刺激的ですが、著者が専門誌の編集長として

取材した事象からIT産業の実情について記載し、今後どのように

していくべきか、という提言も併せて記載されています。

 

以下目次にあるように、賛否両論ある内容がたくさんありますが、

個人的には賛同できるものが多かったです。

【イントロダクション】

      ・「SIガラパゴス」を育んだIT部門の罪

【第1章】 開発を忘れたIT部門の悲喜劇

      ・寿命が尽きるIT部門に「終活」のススメ

      ・経営者の間で台頭するCIO不要論

      ・「うちの社長はITが分からない」の欺瞞

      ・「社長が悪い」と痛罵するIT部門のたわ言

      ・ITを人減らしの道具にしなかった日本企業の罪と罰

      ・大企業のシステムを中小企業が嗤う理由

      ・超簡単、IT抵抗勢力のつくり方

      ・IT部門はシステム運用から手を引くべし

      ・クラウドにまつわるIT部門の嘘を見分ける

      ・ネット企業の劣悪なIT活用に見る日本企業の根深い病理

      ・IT部門は外資系ソフトベンダーの“いい加減さ”を学ぶべし

      ・IT部門の権限を海外に移せ

      ・IT部門をベンダーに売るぐらいなら解体せよ

      ・既存のIT部門では無理!“第2のIT部門”を創ろう

      ・システム障害は起こったほうがよい

      ・システム障害でなぜ社長が謝罪するのか

      ・[実録]社長から「君たちは要らない」と宣告されたIT部門の4年後

【第2章】 ガラパゴス化する日本のIT業界

      ・日本だけ!「SIガラパゴス」に明日はあるか

      ・人手不足と騒ぐITベンダー、もういい加減にしなさい!

      ・IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒

      ・人月商売に技術者を固定し続ける日本の危うさ

      ・いつまでブラック企業の世話になるのか

      ・SIガラパゴス、多重下請け構造の終焉の始まり

      ・国内IT業界の再編、馬鹿げているこれだけの理由

      ・顧客のためにクラウドに取り組むITベンダーの愚

      ・ユーザー企業がITベンダーを駆逐する

      ・日本にはIT産業は無くIT利用産業も無い

      ・お客様相手に協業を持ちかけるITベンダーの愚かさ

      ・「失敗プロジェクトの理由」を嗤う

      ・失敗プロジェクトの何が悪い!

【第3章】 顧客とITベンダーの不条理な関係

      ・日本企業にソフトは売らない

      ・世界に通用するITを育てない罪

      ・感動するバカ、怒るアホウ

      ・プロジェクト延期の無恥と無知

      ・ITベンダーに「提案料」を支払っていますか

      ・ITベンダーがぶち切れた“仕打ち”の理由

      ・ITベンダーの提案書をコピペしたRFPの恥知らず

      ・法外な開発料金の根拠、「客には絶対に言えません」

      ・開発に失敗して、ITベンダーに逃げられた甘えの論理

      ・ロックインを怖がり、マルチベンダー体制を維持する愚

      ・IT部門が没落すればIT業界の大概の問題は片付く

      ・ITベンダーが狙うIT部門飛ばしの極意

      ・開発丸投げの作法を忘れたユーザー企業

【第4章】 技術者のキャリアの危機と可能性

      ・技術者を襲う3年後の悲劇

      ・技術者をプロジェクトマネジャーにするな

      ・技術者はSEになるな、「何でも屋」になれ

      ・成長できないプロジェクトマネジャーの寒い将来

      ・“男らしい”女性プロジェクトマネジャーを増やす愚

      ・効果絶大!IT部門に“異分子”投入

      ・効果企業システムの技術者が駆逐される日

      ・どう考えても、基幹系の技術者は駆逐される

      ・ヒーローを否定する“ITムラ社会”

      ・ユーザー企業の技術者は転職せよ

      ・自分の仕事を無くしてしまえ

 

IT産業に関わる人、特にSIerと呼ばれる会社に勤めている

ビジネスパーソンには是非一読をオススメします。

 

■日本のIT産業のエコシステム(生態系)

日本のIT産業は、世界に類を見ないユニークな

エコシステム(生態系)を作り上げた。

大手SIerを頂点とする多重下請け構造のピラミッドから

成るITサービス産業の事だ。

日本だけで独自進化し一大産業として繁栄した。

私はこれを「SIガラパゴス」と呼ぶ。

 

携帯電話産業などでも日本独自の規格で繁栄した事から

「ガラパゴス」と呼ばれていました。

IT産業でも同じようにガラパゴス化していると著者はいっています。

 

昔から日本のIT産業は俗にいう「ITゼネコン」という大手SIerを

中心としたピラミッド構造ができているという意見がいろんな所で

言われています。

この構造がうまく機能している部分もあれば、そう出ない負の部分が

あるのもの確かです。

 

負の部分について、著者は以下のようにもいっています。

SIガラパゴスを構成するSIerなどは、個別の仕事を請け負うことを

長く生業としていたため、「言っていただければ何でもやります」と

いった受け身の体質が染み付いている。

というか、「言っていただかなければ何もできない」と表現したほうが

適切かもしれない。

このような負の部分が大きくなってしまうと、「儲けるための仕組み」と

してのITを提案できなくなってきてしまいます。

 

では、付加価値のあるSIを提案できるようになるためにはどうすればよいのか。

では、そうどうすればよいのか。簡単に言うと、従来のSIの真逆のことを

やればよい。「言われた通りのシステムを確定した料金で請け負い

ガチガチの体制で長時間かけてつくる」のが従来のSIだ。

まず「言われた通り」ではなく、顧客の想定するビジネスや最新の

技術を検討し「こんなシステムがよいのでは」と提案する。

つまり、いわゆる超上流から案件に入ることが重要なのだ。

この提言の実現はSI企業の儲け方(人月商売)から変えなければ

できないので、簡単にはいかない。

ただ、システムの実現環境が多岐にわたってきた今日においては、

やってかなければいけない、と個人的には思います。

 

今後はクラウドだけでなく、人工知能を効果的に活用した

ビジネスが多くでてくると予想できます。

 

そんな時に1年以上もかけて、システムを作っていたのでは

ユーザのバリューにはつながりません。

 

トライ&エラーで使える物を育てていくようなシステムが

求められていくのではないかと感じています。

 

■SE(システムエンジニア)とは何をする人?

IT業界あるあるかもしれませんが、「職業は?」と聞かれて、

「SE(システムエンジニア)です」と答える。

そうすると、「あー、大変そうだね」で会話は終了。

といったことがよくあります。

 

これは、SEという職種が何をする人なのか(何屋さんなのか)が

よくわからないからです。

 

確かに、IPA(情報処理推進機構)が出しているITSS(ITスキル標準)にも

SEという言葉はでてきません。

 

本書によると、SEという職種は日本にしかないそうです。

海外ではプロジェクトマネージャやアーキテクトなど何の専門家なのかが、

わかるような職種しかないそうです。

 

では、なぜ日本ではSEという職種が認知されているのでしょうか。

その理由を本書ではこう述べています。

提案に借り出されてBAっぽいコンサル的な仕事をやり、

要件定義や設計などのアーキテクトの仕事をやり、

プロマネとして開発の指揮をとる。そして、開発した

システムが運用段階に移行した際に、ユーザー企業が求めれば

運用保守担当者になったりもする。

そんなわけで日本ではSEと呼ぶ奇妙な職種が誕生した。

 

日本でしか認知されていないSEという職種の今後について、

SEはゼネラリストと定義した上で、著者は以下のように指摘しています。

つまり技術者のあるべき姿は”広く浅い”ゼネラリストでも

”狭く深い”スペシャリストでもなく、

”広く深い”バーサタイリスト(多能の人)である。

では、バーサタイリストになるには、どうすればいいのか。

この辺のヒントも本書では記載されています。

(詳しくは本書をご覧ください)

 

■編集後記

自分のキャリアは本書でいうところの、SE(ゼネラリスト)に近いです。

(本書ではだいぶ否定されていますが。。。)

社会人になりプログラマーからスタート。

設計を任されるようになり、アーキテクトに近い仕事もしながら、

プロジェクトマネージャになる。

 

広く浅く色々とやってきたことが、個人的には良かった面が

多かったように思えます。

 

ただし、今後を考えると危機感はすごくあります。

大規模開発は徐々に少なくなってきて、クラウドを利用した

スモールアプリケーションをビジネスに利用する企業が

多くなってくるため、「なんとなく何でもできる」という

キャリアの人は厳しくなっていく気がします。

 

暗い気分にもなりましたが、自分が今後やるべきことが

少し見えた気がします。

 


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